【第17話】みんな違う!枠を外そう!多様性を感じた海岸散歩
療育センターで
障害児の同期の交流は
必要なような・・。
でも
ちょっと違和感もあり
そう感じていた私は
時間があると
積極的に娘を連れて、
広い公園や海に
お散歩に出かけることにしました。
そう、やっぱり
障害児という
”分類分け”された
世界だけをみる事に
ちょっと閉塞感があって・・・。
この子が
枠を超えていった先に
どんな景色が見えるのだろう。
そんなことを
感じてみたかったのかもしれません。
3歳から4歳に向かう娘はというと
言葉はなく
歩かず
おもちゃで
遊ぶことは皆無
食事も
スプーンなどは使えず、
ペースト状のものを
一口づつ口に運んで食べさせてもらう・・。
トイレも全介助
そんな感じで、
全くの赤ちゃんだけど
音楽は好きで、お歌をかけると
ニコニコしていました。
言葉はないけれど
喃語のような、声は出して
音には敏感
あとは・・。
体も1歳児のように小さくて
よく熱を出し、そのたびに
熱性痙攣があって入院したり
睡眠障害があったりしたかな。
だんだんと
その独自性は色濃くなっていました。
この頃
私は色々な心情を経て
そんな娘を
世に放つ覚悟を
決めつつあったみたい。
線引された
枠の中にいれば
きっと傷も少ないかもしれないし
大海原に放りでていくのは
怖いけれど
心を凛とたたせながらも
柔らかく
勇気を出して・・・。
そんな感じで
とにかく、調子がいい日には
”枠”のない世界に!
一歩前へ!と言い聞かせ
娘と歩き出しました。
お天気がいい日の日中は
公園や海に保育園の子供たちが
自由に遊んでいたり
まだ多分入園前くらいの
子がたくさんいたり
また、週末は
パパさんも参加して
ファミリーで遊んでいたり
そんな光景が
繰り広げられている場に
自然と足が向かいます。
私は湘南の茅ヶ崎に住んでいて
特に海岸はお気に入りの
お散歩コース
中でも海の家が建つ前の
5月くらいの海岸散歩は
風が爽やかで半袖でも気持ちよく
とっても好きでした。
その時期は
娘をバギーから砂浜に下ろして
のんびり、
エボシ岩や江ノ島を眺めながら
子供ウォッチングなんかを
していたんだっけ。
広々とした空の下で
子供たちが思い思いに遊んでいるのを
ぼんやり見ているんです
娘は風にあたって気持ちよさそう。
そんな時間をたくさん重ねました。
そうして遠目に眺めていると
みんなでキャッチボールをしている
同じ位の背丈の子たちだって
投げ方も、
走り方もみんな違うんだな。。
なんていうことがよくわかって
その点に注目するようになりました。
真っ直ぐボールを投げる子
相手までバウンドしてやっと届く子
ボールが投げられないと泣く子
曲って投げる子
キャッチが出来ない子
得意な子
走るのが早い子
遅い子
途中で、
砂浜の何かに夢中になって輪から外れる子
ワンちゃんに夢中になる子
ワンちゃんが
近づくと大泣きする子
波に突進していく子
波から夢中で逃げる子
本当に一人一人
みんな全く違って
思いのまま。
眺めていたら
私も自由でいられる気になっていきました。
こんな光景を
何回も何回も眺めていると
何がよくて何がダメなのかが
わからなくなってきます。
こんなにみんな違うからこそ
面白いのに
普通ってなんだろう。
色々気づき始めてから
よく呟くこの言葉を
またしても呟いている私。
どうか
この個性豊かな子供達を
普通なんていう規範に押し込めて、
個性を奪うことがありませんように!
と、波の音を聞きながら
心から願っちゃいました。
そして、ついには
こんな思いが次々と
浮かんできたのです。
『みんな、個性的で唯一無二
本当に一人一人全然違う
違って当たり前なんだ。
じゃあさ!!
障害だって
ひとつの個性なだけじゃない!
ちょっと珍しい個性なだけ
ただ
それだけのことなんじゃないのかな?
みんな違うものを出し合って
分け合っていけば
豊かな世の中になるんじゃないかな
この世を創造していくのに
どの個性も必要不可欠なはず
自然界は
多様なものが互いに
影響しあって、生かしあってる!
人間だって自然の一部
排除されていい命なんて一つもないし
役割のない命なんて一つもないはず
どんなに珍しい個性だって
世の中を創っていくのに絶対
必要なんだから
もっともっと交わる世界にしていきたい!!』
と、
波のリズムに乗って
後から後から
熱い思いが溢れ出てくる。。
若きママの私は
多様性であることの
歓びを
この海で、たくさん感じ
学んでいたのでした。
枠を外して
怖さを超えて
創造へと向かおうとしていた時。
そして、全てを受け容れる
覚悟を決め始めていたこの頃の私。
若葉のような
瑞々しい感受性だったな。と
懐かしく
思い出します。
さあ!
ここから、いよいよ
娘を連れて
大海原への航海が始まります。
この先
幾度の大波に
転覆しかけたり、
大波をかぶったりしながら
その身を晒し
至福に向かう旅の出発です。