【第21話】聖恵幼児園との出会い「どの子も神様の子」
毛利子来(たねき)先生のご紹介で
障害児の娘を連れて
自宅から車で15分ほどの場所にある、
聖恵幼児園を訪ねました
ここは無認可で、幼稚園ではなく
幼児園として運営されてる園
シュタイナー教育
キリスト教が主軸となった教育方針で
制服もなければ、園のバスもないし
立派な鼓笛隊などもありません
大枠のルールの中で
子どもたちが主体的に何をやるかを
選び取っていくのです
私が初めて行ったその日は
朝のお祈りを終えた
子どもたちが
早速園庭のお砂場で
お山を作っている途中
何やら虫さんを見つけて
大盛り上がりしていました。
毎日、泥んこになって
帰る子が多いそう
茅ヶ崎は海のイメージが
強いのですが
この幼児園は茅ヶ崎の山側にあり
自然が多い場所に
素朴な佇まいで建っていました
木の温もりを存分に感じる園舎
園庭の可愛い黄色い屋根の小屋
お砂場
木登りができる大きな木
ちょっとノスタルジックな
雰囲気の聖恵幼児園
私はその空気に触れた瞬間
本当に優しい心地よさに包まれるのを感じて
何だかわからないけれど
あーー!全てに感謝したい!
あーー!なんて幸せなんだろう!
って自然に涙が出てしまいました
なんだろう
この優しい空気・・・。
特にこの頃は
感受性豊かだったみたいです。私。
娘と園長先生を待ちます
「どんな子でも受け入れてきたところだよ」
ご紹介してくださった毛利先生は
そうおっしゃっていたけれど
どの園もお手上げだった
娘を本当に受け入れてくださるのだろうか
少しの不安がよぎったのですが
園の空気の安心感が
優っていた気がします
そして
園長先生がいらっしゃいました
とても穏やかに微笑む
暖かな雰囲気の園長先生
「ようこそ来てくださいました」
と本当に柔らかな笑顔で
迎えてくださり
娘の手を取って
「こんにちは!お待ちしていましたよ。ようこそ!」
と声を掛けてくださって
それから私に
「どの子も神様の子ですから。
そういうつもりで、お受けいたしますね」
と言葉少なに言ってくださった
もう
その一言以外に何も言葉は必要なくなりました
もうだめ。抑えていたのに
涙が止まりません
ここは、代々、
そんな園長先生のお言葉通りの思いのもと
色々な障害のある子の受け入れを行なって
きたとのこと
何十件も「共に在る場」を
探しても、あんなに
あんな理由で断られ続けてきたのに
こんな近くに
こんなにも暖かく、お互いのそのままを
受け容れあう世界があっただなんて
本当に嬉しく感動の聖恵幼児園との
初対面の日
忘れもしない
心弾む幸せな一日になりました
ここから2年間の
園での日々がスタートします
娘は状態が安定しない時期でも
ありましたが
貴重な園との出会い
状態の良い日は喜んで通いました
こうして、
この先の娘との何十年
この聖恵幼児園で得たことを胸に
共に生きる!
生かし合う!という道を
自分の感じたことに素直に従い
進んでいきました。
地域の公文教室から始まり
そこから
ひとつづつ、門を叩いて歩み進む。
この頃の私は
娘のあるがままを受け容れる
という感覚は曖昧で
無我夢中だし
まだまだ迷いの中ではあったのです
けれど、
”社会”だとか”教育”
と称して分類分けをしていく違和感や
もっとこうだったら良いのに
ということに対しては
その心、肌が感じた通りに行動し
門を叩き続けたのです
そうやって実際に
触れていくごとに
普通でなくなる怖さは少しづつ緩み、
だんだんと、
「ありのまま」とか
「持って生まれたものを誇る」とか、
それを認め合っていくことの大切さが
体に染み込んでいったのですね
考えるより動いて感じろ
とはよく言ったもので
その肌感覚の赴くまま
行動していくことは大事だったなと
振り返り思えています
この聖恵幼児園での
2年間
それはそれは
かけがえのない、宝石のような時間
私たち親子は
ここでボーダレスな豊かさをたっぷり浴びて、
それを土台に生きてきたように思えるほど
それほど素敵が詰まった幼児園での体験だったのでした
でも
本来は、人が人であって
人と人が融合していくことに
線引なんてないはずなのです。
園長先生が本当にシンプルに
おっしゃった
「どの子も神様の子」
ただただそれだけ。
その思いのままその命を抱きしめられたら
そして、それらの命が分かち合えたら
どんなに素敵な世界になるのだろうと
ずっとずっと
胸に抱いて娘と生きてきました
ただ自然に在るだけです
平均値とか基準とかに
命を従わせているうちに
自然な生命としての「生きる」はなくなっていくこと
外側を生きるのではなく
そのままの命を生きて、生かしあうということを
この園はたくさん教えてくれました。
自然な命の融合を学ばせてくれた園との
出会い。
とても感慨深く思い出します
もう一度、いや何度でも言いますね。
『どの子も神様の子』
ただただそれだけなのです。
それが命の原点なのです
(続く)
この園で感じたこと
実際のエピソードを次回お話ししてみたいと
思います!