【第5話】1歳過ぎから顕著になる周囲の子との違い

一歳になるまでは
小さく産まれたことや
そのおかげで入院が長かったことが
私の中で
成長の遅れの理由付けになっていました

だってね
検査は何回やっても何も出ないし
病名なんてないんだから尚更です

でも、本当は

普通ではなくなるという
恐れをどこかで薄々感じながら、

その恐れを回避するために
成長が遅れている理由を探しては
自分を納得させていたのでしょう

一歳までは
障害だなんて
認められるはずもない私は

御多分に漏れずに
娘を公園デビューなんても
させたりして
近所のママ友などの交流にも
積極的に参加しました。

そう

10月生まれで
入院を経て家に連れて帰れたのが
12月で真冬。

それから

日差しが暖かな日が時々感じられる
2月の立春すぎから公園にお散歩に行き始めたので

ちょうど生後4ヶ月を過ぎての
お散歩デビュー。

だんだんと公園で赤ちゃん連れの
ママと顔馴染みになり、
少しづつ、その人数も増えていきました

そのうち

誰々のお家でランチしようとかが
持ち回りになったりして

その間、
赤ちゃん同士も交流の場になる訳です。

同じ月齢の赤ちゃん達の中では
娘はひときわ小さく

動きもみんなとは違いました。

生後半年前後の赤ちゃんは

表情も豊かになったり

繰り返しの遊びに声を立てて笑ったり

寝返りして
おすわりもできる。

そんな話題で持ちきりでした

赤ちゃん同士でお互いに
興味を示し合ってる様子も見られます

で、離乳食のレシピなんかを
ママ同士で交換し合って盛り上がっていました

そんな中

うちの娘はというと

お座りは愚か
寝返りだってしません

ママ達が
楽しそうに交換している
離乳食のレシピの内容も

とてもまだまだ無理です

ミルクをやっと
何CC飲めるようになったとかのレベル

そんな現状をなんとなく
ごまかしながら、

「うちもちょっとづつ
離乳食に挑戦する!参考にするね」

なんて言って
話を合わせていましたが

その度に
いちいち、未熟児だから。とか
入院が長かったから
なんて言い訳の言葉を
繰り返し付けて話す。

そんな感じのママ友赤ちゃん交流

だけど

月齢が進むにつれて
周囲の子と娘の違いは顕著になっていき

その遅れの理由を説明するのも
苦し紛れになっていました。

赤ちゃんが生まれて
1歳になるまでの成長の変化って
本当に目まぐるしく濃密

日々変化していくのですね。
”普通の子”はね。

生後半年くらいで
仲良くなった子達は

どんどん、できることが増え
どんどん、表情が変わり
どんどん、世界が広がっていく

それなのに

うちの娘は
離乳食も食べられないし
なんか、目線が合わない

おもちゃを口に持っていくことも
ハイハイして
目が離せなくなることもない
3ヶ月用のカバーオールが
いつまでも着られる!

その差が広がるにつれ

周囲のママ達が

何だか徐々にそれには触れないように
している感じが肌にあたります

あんなに
「遅れてたって絶対大丈夫だよー!」

って励ましてくれていた言葉も
すっかり聞かなくなっていました

そして、

そんな空気に触れるのも辛くなったし

娘と周囲の子が明らかに違ってくるのを
直視することが重たくなってきて

ママ友、赤ちゃん交流とも
距離を取るようになっていきました

もう
この子が周りの子と違うことの
言い訳が
未熟児ということだけでは通用しない

そう感じ始めていて

それは同時に
当たり前が崩れていく
絶望に巻き込まれる感じがして
怖くてたまらなかったのかもしれません

この頃から

少しづつ心が壊れていくのが
自分でもわかった感じがしました。

暗くて深い
長い
戦いの日々が始まっていきました

(続く)