【第2話−②】娘の誕生 衝撃的な告知
出産から2日後
”お話ししなければならないこと”がある
として、
主治医の先生や数名の看護師さんが待つ
特別室みたいなところに呼ばれました。
赤ちゃんとはまだ会えていません。
なんだか、その重々しい空気と
先に事情を知っていたであろう夫の
困ったような引きつった表情から
”普通じゃない”ことを察しました。
それでも産後すぐの私をみんなが気遣って
平静を装うような空気が
余計に不安を誘うけれど
それを言葉にもできず。。。
先生の話を聞きに
指定された部屋に向かうまで
産後の痛みに加え
不安から地に足がついていない感覚と
自分の手が冷たくなるのを感じながら
部屋のドアを叩きました。
「ご出産おめでとうございます。
女の子で元気はありますよ」
と先生は話し出し
そして
「今日はとても重要なことを
お話しなくてはいけないのです。
今から、お話しすることは、
今の時点で全て決定していることではないのですが
どのようなお子さんかということをお話しますね。」
と言った後
「お子さんは、どうも、
ちょっと疾患があります。
満期産の割には1980グラムと
低体重という点から
何かを疑わなければならない
ということがありました
見た目で分かることは、
足が内反足と言って、
くるぶしから先が内側に曲がり、
平につけないから
後に手術が必要になるということ。
それから
今は肺機能が弱く、
自力でミルクが飲めないので鼻から
経管栄養をとっています。
まだ、これから詳しい検査をしないと
なんとも言えませんが
どうも、染色体か何かの異常を
疑わなければならないようです。
それも、
ちょっと何番目の染色体がわからない。
21番(ダウン症)ではなさそうで、
希少な染色体の異常も
考えられます。
色々な障害があらわれるかもしれません。
もし、希少なものの場合
その生存予後は場合によっては
短いかもしれません
だんだんと分かることですが
普通の成長ではない場合もあるかもしれません」
・・・と、先生は冷静に淡々と話されていました
その瞬間
その場の色も
匂いも
暑いも寒いも
さっきまで感じていた
産後の痛みも
自分の体温も
全ての感覚が無くなっていきました
何を言っているの?
体が震えているようでしたが
なぜか、凄く取り乱すわけでもなく、
涙も出ません
そして
はっと顔を上げて
「でも、元気はあるのですよね?
ダウン症ではないのですよね?」
と、強い口調で先生に問いただしました。
当時、生まれつきの障害の名前といえば
ダウン症くらいしか頭になかった私は
ダウン症でさえなければ
ということをひとつの
安心材料にしたかったのかな?
なので、ダウン症じゃないことにすがり
きっと、治せば、”普通”に追いつくはず!
そう思って
その後赤ちゃんと対面するのでした。
今思えば、その受けた衝撃から
絶望になるのを回避するために
自分の納得の範囲に
現実を押し込めようと必死でしたね
(続く)