「全て最悪」が「全て」ではないと思えた体験と、「全て」巻き込まれないようにした体験
ひとつ前の
「苦境からの立ち直りを妨げる3つのP」についてをお伝えしたことの続きです。
3つのPのうち、2つ目のPervasiveness(すべてに影響すると思い込む)をほどくことが
私としては、一番大切だと思っているとお伝えしたのですが
今回はその思いこみが、解けていったと感じた体験と、
それが役に立っていたという体験をお伝えします。
辛い事情に、全部飲み込まれそうな時を過ごしている方が
少しでも楽な気持ちになるといいな、と思いながら思い出を少しお話しします。
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その昔・・・。
まだ娘の障害を受け容れきれなかったある日、
いつまで経っても全介助が必要な娘のことが本当に憎くなってしまって
いつものように、もう、何もかもが辛い。もうやだこんな人生。
と最悪な気分にどっぷりハマってしまっていました。
そんな泣きたいどんより気分の中で、洗濯物を畳んだりと家事をしていたのだけど
何故だか、その日は
娘のお洋服の可愛い花柄や、
モノグラム(イニシャル刺繍)を入れた色の綺麗なリュック。
歯ブラシセットを入れるスヌーピーのポーチなんかに
一瞬目が止まり
それを選んだ時の気持ちがフッとよぎりました。
これ可愛い!
リュックにSAKIと刺繍を入れてあげよう。糸は何色にしようかな?
さきちゃん可愛くしてあげよう!
似合うかな?可愛いの買ってあげよう。
人生辛すぎる。と毎日のように思っていたはずなのに、
ほんの一瞬だけでも、こうして娘のためにワクワクした
気持ちになったんだ。と娘の持ち物を見て感じたのです
ワンピースの可愛い柄
スヌーピーのなんだか癒される可愛さに目をやると
辛い気持ちに覆われて、どこかに追いやられていた
一瞬のそんな柔らかだった自分の気持ちがよみがえりました。
私が苦しい気持ちに苛まれていると、その空気で敏感に察知する娘は
悲しそうにうつむいてしまいますが、
そんな時娘が着ているパジャマの胸元で、呑気に楽しげに
ミニーちゃんが笑っていました。
ミニーちゃんのパジャマを買った時も
少しの瞬間、娘のことを思ってウキウキしてたんだ。私。
そうして、部屋を見渡すと、母(ばあば)が買ってくれた娘の
毛布には可愛いテディベアがプリントされているのが目に入りました。
母(ばあば)も、きっとサキちゃんあったかくしてね。と思って
可愛いの選んでくれたんだな。
なんて思えたのです。
それらを、ほんの数分感じてみたら。
何もかも辛いんじゃないのかな?
何も愛せないんじゃないのかも。
全部憎いでもないのかな?
全て最悪と思っていたけど
思ってくれている人がいたんだ。
と思えて泣けてきちゃったのです。
イライラしていたけど
ちょっと娘のこと抱っこしてみようかな。って、
そんな気持ちになりました。
振り返ると
こんなことを何回も繰り返し、障害児育児の辛さからの
Pervasiveness(すべてに影響すると思い込む)に囚われていた心
が、だんだん解けていったのだな、と思いました。
なんだが、それを感じられる自分が少しずつ愛おしくなる気がしました。
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それと、そういえばなのですが、
↑↑のような体験で培った心のありようが
力を発揮していた。という体験をもうひとつお伝えします。
4年前の今頃、亡くなった夫は、ガンの闘病の真っ只中でした。
入退院を繰り返し、最後の3ヶ月は自宅での緩和ケア。
呼吸困難になったり、肺炎を起こしたり、吐血したり。
闘病中の夫も過酷だったはずですが、私も娘の介助と、仕事と、看病。
かなり過酷な日々を送っていました。
でも、そんな中、娘の育児が心を鍛えてくれたおかげか
「全て」巻き込まれない。とか、自分の全部をその状況、出来事に持っていかれない。
とかがどこかで身についていて、
時々、訪問の看護士さんに来ていただく時などの
合間を見てほんの小一時間でも、あえてその場から離れる時間を作っていました。
友達とお茶をしたり、30分だけ、と決めてお店で洋服を試着したり。歩いたり。と、
抱えた状況からまったく関係ない時間に身をおくことを意識するようにしたのです。
友人には、今の気持ちを吐露しつつ、すぐに笑える昔話とか、
体の劣化の話とかになってしまい(苦笑)
それが、とってもありがたい時間になっていました。
その数分で、チャージしたパワーを、抱えていることを超えるエネルギーに還元する。
そんな感じで乗り越えたように思えます。
全部悲劇に囚われそうな日常に、あえて、「持っていかれない」時間を作る
ことにしていたたため、その後の夫とのお別れによる
喪失感は当然苦しいものだったけど、
早い段階で、夫への感謝の気持ちが上回った気がしました。
夫の過酷な闘病からお別れの時は、
自然とPervasiveness(すべてに影響すると思い込む)に囚われないために
行動していたんだな。なんて後から気づきました。
障害児育児の経験で得たことが、ここで力を発揮していたようです。
そのお陰で起こった悲劇からの立ち直りを早めてくれたように思います。
全部巻き込まれないために、少しの時間だけでも
あえてくだらない笑い話をしてくれた
友人には、本当に心から感謝です。
どうしても、辛い状況から抜けられない時は
生活の全部が辛いわけじゃないと思ってみる。
たったそれだけでも気持ちが
随分違うはずです。
日常に落ちている、小さなワクワクを感じてみるとか、
あえてその場から自分を離してみるとか
そんなことで、辛さに覆われてしまう
心を少し柔らかくしていける感じはとっても大事だな、と思っています。
抱えてしまったこと、起こってしまったことはなかなか変えられないけど、
一瞬自分に還って感じたことは、現実の問題を超える力になるのですよね。
それを重ねていくと、現実も違って見えるようになるから不思議です。
今、何もかも辛い。と感じている方の気持ちが
少しでも軽くなるといいな。と思っています♡